チワラスボ

(ハゼ科 チワラスボ属)

Taenioides snyderi Jordan and Hubbs, 1925

コガネチワラスボ(静岡県の河川)

チワラスボ

オリンパスE-M1Ⅱ MZD12-40(12)/2.8 f8 1/180 Z-240×2(TTL)

静岡県の河川 4月 水深50cm

 日本に生息するチワラスボ種群は、以下の4種と見込まれてきました。

  A種 Taenioides anguillaris (Linnaeus, 1758) か?

  B種 Taenioides gracilis (Valenciennes, 1837) 「チワラスボ」

  C種 Taenioides snyderi Jordan and Hubbs, 1925 「コガネチワラスボ」

  D種 Taenioides kentalleni Murdy and Randall, 2002 か?

 是枝・本村(2021)でチワラスボB種は、T. snyderiに同定され、和名はチワラスボとなりました。

 撮影地では、コガネチワラスボと同所的に生息しますが、個体数は非常に少なく、感覚的にはコガネの数%程度しか見かけません。また、大型個体も見かけません。写真も未成魚です。

 本種は浜名湖辺りではむしろコガネより多いようです。

 是枝・本村(2021)によると、本種は海に近い河口域や前浜干潟で個体数が多いようで、塩分濃度が高い環境を好む可能性が示唆されています。実際、静岡県下の河口域では大潮の干潮の際に見つかりやすい印象があり、人が普段あまり立ち入れない深い場所(=塩分濃度が深さの分高い?)であることに起因するかもしれません。

 コガネと異なり、全身が一様に濃い赤紫色で、この2種しか分布していない場所では、実用的にはこれでおおかた見分けが付くと思われます。(見分け方についてはコガネチワラスボの頁参照)

 この写真も純粋なフィールド写真ではありません。協力者の方が現場で捕獲したものをその場で放ったものです。慌てて着底しようともせず、中層をだらだらと流されます。着底すると、すぐに頭から潜ろうとします。いったん潜るとその場所を掘ってももう見つかりません。

[参考文献]

是枝伶旺 ・本村浩之(2021)コガネチワラスボ(新称)とチワラスボ(ハゼ科チワラスボ属)の鹿児島県における分布状況、及び両種の標徴の再評価と生態学的新知見.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 10: 75-104.

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