稀種ではないと思いますが、警戒心が非常に強く、生態写真は少ないと思われる種です。
干潟に潮が満ちてくると、直径2cmほどの穴と、まわりの砂底に尖ったもので掻いたような跡があるのが観察されます。潮流に任せて接近すると、何かが巣穴にスッと入っていくのが見えます。そこで10分ほど静止して待ってみたところ、眼柄の長いカニが出てきました。
眼柄の長さは寝かしたときに甲を超えるほどではないので、ヒメメナガオサガニではなく、メナガオサガニと思われます。
このような穴は多数あるので、本種は少なくとも撮影地では普通種と思われます。
だんだん潮が満ちてきて深くなるので、浅い場所の個体を狙うこととしました。警戒心の弱そうな(すぐに巣穴に入らない)個体を見つけ、ごくゆっくりと接近し、50cm程度まで寄って撮影しました。
静止して観察していると、シオマネキ類同様に、落ち着くと触角や鉗脚を盛んに動かし、巣穴のまわりで砂を掻いて餌を食べ始めました。掻いたような跡はこの際にできるようです。