アサリ (マルスダレガイ科) Ruditapes philippinarum (Adams & Reeve, 1850)
アサリ(広島湾)

アサリ 
オリンパスE-3 ZD35/3.5マクロ f8 1/250 Z-240×2(TTL) 
広島湾 8月 水深0.5m

 撮影地では昭和50年頃を中心に、干潟にアサリその他の二枚貝が大発生しました。当時は干潟ひと掻きで10個も獲れるほどで、干潟は大勢の人でにぎわいました。アサリを中心に、オニアサリ、カガミガイ、マテガイ、少数ながらウチムラサキ、泥底にはオオノガイ、砂底にはクチバガイが大量に棲息していました。しかしこれら二枚貝はその後2-3年で急激に減少し、昭和60年頃にはほとんど見られなくなりました。

 今では、この干潟で貝掘りをする人は全くおりません。ここ数年、マテガイやアサリの殻を見かけたり、ツメタガイを見るようになったので、二枚貝が棲んでいるのは間違いなかったのですが、生きたアサリは久々に確認しました。ごく普通種ですが感動ものでした。

 断っておきますが、昭和50年頃は環境がよかったのかというと、決してそうではありません。撮影地では昭和50-55年頃が最も水質が悪く、干潟の海に近い部分はアナアオサで覆われていました。その後少しずつ改善して、現在は当時よりはるかに環境がよくなっていると言えるでしょう。アナアオサもありません。

 ある特定の生物が大発生する、というのは、環境の変化が起きている途上であることを意味していると考えられます。昭和50年頃はそういう時代だったのでしょう。水質や底質が改善し、海が落ち着いてきた現在、干潟に本来の生態が戻りつつある、ということなのかもしれません。もっとも水温が上がっているという変化を見逃すわけにはいきませんが・・・。

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