ゴギ

(サケ科 イワナ属)

Salvelinus leucomaenis imbrius Jordan & McGregor, 1925

ゴギ(太田川)

絶滅危惧II

ゴギ

オリンパスE-3 12-60(37)/2.8-4 f8 1/250 Z-240×2(TTL)

太田川 8月 水深70cm

 西中国地方の最上流域に生息しているニッコウイワナの亜種です。太田川のものは従来から移入とされてきましたが、太田川は高津川との間に明確な分水嶺がない地域があること、江の川からの河川争奪(更新世後半:数十万~数万年前)があったことなどからすると、天然分布の可能性もあると考えられます。

 撮影地では、アマゴはたくさん見られるのですが、本種はなかなか見つかりません。初日は捜索を諦め、2日目は見つかるまで源流域を溯っていくこととしました。周囲がスギ植林地からブナ林に代わり、2万5千分の一地形図上から川が消える辺り、川幅も3m程度に狭まった淵でようやく写真の個体を見つけました。淵の深さは1m足らずですが、そもそも源流部で水量も少ないので、そこそこの淵と思われます。下流側に頭を向け、大岩の側に着底していました。頭部に白い斑紋があり、ゴギと分かりました。

 こういう場合、往々にして目的の種がこれ以上出現しないことも多いので、慎重に寄ります。先方は全く動く気配がなく、底生魚か?という感じです。私自身はあまり上流部で撮影したことがないので、渓流魚というのは淵の落ち込みの中層に定位して流れてくる餌を待っているものと思っていたのですが、このゴギはハゼやカジカのように底にじっとしているのが意外でした。「そういえば以前ニッコウイワナを撮影したが、やはり着底していたな。でもあの時は夜だったし・・・」などと思い出しながら、慎重に寄っていきます。

 この個体は全く動じることなく、ベタ寄りで撮影させてくれました。全長20cm弱の個体です。一通り撮影した後、広角側にズーミングし直し、さらに寄りながら撮影していると突然逃げました。しかし、この淵ではこの地点が最も落ち着くらしく、すぐに戻ってきて今度は上流側を頭にして着底。やはり底生魚か? さらに寄ってみると跳ぶように逃げ、上流側の急流部を抜けて見えなくなりました。この後、さらに上流部に足を運んでみましたが、発見したのはこの1匹のみでした。

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