ハカタスジシマドジョウ

(ドジョウ科 シマドジョウ属)

Cobitis striata hakataensis Nakajima, 2012

ハカタスジシマドジョウ(博多湾流入河川)

絶滅危惧IA

ハカタスジシマドジョウ

オリンパスE-M1Ⅱ MZD12-40(19)/2.8 f8 1/60 Z-240×2(TTL)

博多湾流入河川 4月 水深60cm

 スジシマドジョウ中型種族の1亜種で、「博多型」と呼ばれていたものです。博多湾流入河川の固有亜種で、2012年に新亜種記載されました。

 チュウガタスジシマドジョウは体側中央の最も太い黒条(L5)が通年一直線に繋がっているのに対し、本亜種は通常時は点列で、雄は繁殖期に繋がります(雌は繁殖期に繋がる個体は少ないとされる)。繁殖期にL5が繋がる雌が比較的多く出現するオンガスジシマドジョウとやや異なります。加えて、背中から数えて3番目の黒条(L3)が、本種はやや太くて点列であるのに対し、オンガでは細くてほぼ一直線に繋がります。水中で観察した限り、斑紋の色はチュウガタより薄いですが、オンガよりは濃い印象です。

 もっとも、オンガスジシマドジョウと本亜種は生息域は重なりません(チュウガタとも重ならない)。

 本亜種は河川の中下流に棲息します。こうした場所は都市域と重なり、もともと分布域が狭い上に、環境改変の影響を受けやすく、今では絶滅の危機に瀕しています。2019年に、種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)に基づく「国内希少野生動植物種」に指定され、捕獲、譲渡、引渡し等は禁止されています。

 さて、本亜種を撮影した時はまだ水が冷たく、全く表に出ていませんでした。砂礫混じりの砂の中に潜っているのですが、掘り出しても直ちに潜ってしまうため、撮影は容易ではありません。

 半分くらい潜ったところで落ち着く場合があるので、指示棒でそっと砂を退けて、全身を撮影しました。

 大きさは比較的揃っており、いずれも全長7-8cm程度でした。

 ヤマトシマドジョウも同所的に棲息しますが、ハカタは(オンガも)尾柄部の黒班が上側のみ極めて鮮明で、下側は不明瞭であることから、水中でもヤマトとは容易に区別することができます。ヤマトよりも体側の模様が薄く、はかない感じがします。頬の模様も、オンガ同様すっきりしています(ヤマトは複雑)。

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