キタノアカヒレタビラ

(コイ科 タナゴ属)

Acheilognathus tabira tohokuensis Arai、Fujikawa and Nagata、2007

キタノアカヒレタビラ

絶滅危惧ⅠB

キタノアカヒレタビラの雌雄 (タナゴ属)

オリンパスE-3 ZD50/2マクロ f8 1/125 Z-240×2(TTL)

庄内地方の河川 4月 水深30cm

 タビラ類の亜種で、新潟県、福島県、山形県、秋田県の日本海側に分布します。

 撮影地では、流れのある場所を群れて遊泳しています。そこそこ警戒心はありますが、じっとしていれば比較的目の前を泳ぎます。婚姻色の出た大型の雄はやや警戒心が強いように感じます。フラッシュには動じません。雄は婚姻色がそこそこ出ていますが、まだ繁殖している様子は感じられませんでした。

キタノアカヒレタビラ雌雄の遊泳

キタノアカヒレタビラ雌雄の遊泳

オリンパスE-3 ZD12-60(30)/2.8-4 f8 1/90 Z-240×2(TTL)

庄内地方の河川 6月 水深40cm

 キタノアカヒレタビラの繁殖行動はカネヒラに似ています。2-3匹の雄どうしが表層も含めてかなりの速度で泳ぎ回っています。この動きはかなり広範囲にわたり、視界(透視度)の範囲内では見通せません。透視度は1m程度でしたので、径2m以上の範囲で泳ぎ回っています。このときの雄の婚姻色は鮮やかで、青みがかかっています。動きは素早く、3次元移動するため撮影は容易ではありません。

キタノアカヒレタビラの産卵

キタノアカヒレタビラの産卵

オリンパスE-3 ZD12-60(60)/2.8-4 f8 1/90 Z-240×2(TTL)

庄内地方の河川 6月 水深50cm

 観察しているうちに、雄たちが止まる箇所があることに気付きました。実はこの下にはドブガイが埋もれていることが分かりました。ドブガイは泥に潜っているため、表からは見えませんが、水管が見えます。後で泥を払ってみると、このドブガイは小さく、長径5cm程度しかありませんでした。しかし、雄たちはこのドブガイに縄張りを張る様子は全くありません。いろんな雄がこのドブガイのところに来て貝覗きをするのですが、他の雄が来ても争いになる状況は起きませんでした。

 最後まで縄張りが張られることはありませんでしたが、一匹の雄がどこからともなく雌を連れてきて、突如とこの貝に産卵させました。写真はその様子です。

 今回観察したキタノアカヒレタビラの繁殖行動はカネヒラに似ており、①雌雄が広範囲に素早く泳ぎ回る婚姻遊泳、②時折雌雄又は単独で貝を覗きに来る、③ペアリングして貝のところに来て突如産卵、という手順でした。

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