コウライニゴイ

(コイ科 ニゴイ属)

Hemibarbus labeo (Pallas, 1776)

コウライニゴイ1(太田川)

コウライニゴイ

オリンパスTG-2 f2 1/1000 -0.7補正 自然光

太田川 8月 水深50cm

 本種は不思議な分布をする魚で、滋賀県~山口県西部・四国の瀬戸内海側・紀伊水道側に見られます(ちなみに四国の太平洋側の仁淀川などにはニゴイがいますが、これは琵琶湖からの移入のようで、もともとニゴイ類はいなかったようです。)。氷期の時代は現在の琵琶湖・淀川水系と瀬戸内海の山口西部あたりまでが紀伊水道に注ぐ一つの大きな水系となっていたと考えられており、その水系と分布域が重なります。コウライニゴイの名の通り、アジア大陸にも分布します。

 一方、ニゴイは日本固有種で、中部地方以北の本州と九州北部に分布するとされていますが、琵琶湖には両者が分布するようです(湖内にいるのはニゴイで、コウライニゴイは湖南、湖東の流入河川と瀬田川にいるらしい。)。

 成長した個体は下顎の皮弁が後方まで発達するため、裏面から見れば区別できますが、水中で写真を撮っているだけでは分かりにくいです。また、コウライニゴイは胸びれ、腹びれ、尻びれが橙色(ニゴイではせいぜい黄色)を呈するとの観察報告もあります。

 写真は成魚です。平瀬の中を単独で定位していました。ちょっと大きめの石の下流側に位置しており、ここが落ち着くようです。この地点はかなり流れがあり、深さもあったため、大きなカメラを持って近寄るのは困難でした。このため、流れの緩い場所から腕だけを伸ばしてコンデジを構え、自然光で撮影しています。下唇が厚くて後方まで伸び、ニゴイに比べると頭部が細長く、全体にスマートな印象です

コウライニゴイ2(太田川)

コウライニゴイの幼魚

オリンパスE-3 ZD12-60(60)/2.8-4 f8 1/125 Z-240×2(TTL)

太田川 8月 水深30cm

 上の大型個体と同じ場所の岸寄りの草陰で撮影した幼魚の群れです。全長5cmほどです。

 カワムツなどより底層に定位し、あまり動きません。同じ場所を好むようで、逃げてもまた元の場所に戻ってきます。

 ニゴイの幼魚では胸びれが透明との印象があるのですが、こちらは胸びれが全体に黄色よりも濃く色づいています。

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