クルメサヨリ

(サヨリ科 サヨリ属)

Hyporhamphus intermedius (Cantor, 1842)

クルメサヨリ(荒川)

準絶滅危惧

クルメサヨリの幼魚

オリンパスE-M1Ⅱ MZD12-40(18)/2.8 f8 1/125 Z-240×2(TTL)

荒川 8月 水面直下

 青森から有明海の汽水域に、断続的に生息するサヨリです。

 本種は大きな河川の汽水域や汽水湖に棲み、しかも普段はばらけて生活していると思われ、フィールドでの撮影は非常に難しい種です。

 以前、台風の後に、排水門からの落ち込みの表層で本種が群れているのを見たことがあります。おそらく「エサが流れてくるのをただ待っていればいい」という恵まれた状況だったのでしょう。こうした状況でもないと撮影は難しいだろうと考えていました。仮にこのような状況に出くわしたとしても、増水の中、大河川に入るのは危険ですし、濁りのため、撮影はまず無理でしょう。

 一方、本種は幼魚のうちは光に集まるらしく、ならば夜間に光で集めて、幼魚だけでも撮影してみよう、ということで夜の荒川に繰り出しました。(成魚も光に集まる習性はあるものの、照明範囲のすぐ外側で回遊する)

 夜に大潮の満潮になる日を選び、協力者の方に岸辺に灯りを設置していただきました。すると、確かに全長2-4cm程度の幼魚が少数ながら寄ってきます。

 ごみだらけで、脚の届かない大河の深みに、しかも夜中入るのは全く気乗りしませんが、幼魚は確かに集まってきますので、ここは入るしかありません。離れた場所から入水し、泳いで水面移動していきますが、不用意に寄ると逃げてしまうので、波を立てないようごくゆっくりと接近します。

 幼魚は絶えず泳ぎ回るうえ、こちらも浮遊状態で体を固定できないため、ピントは表層にある浮遊ゴミに合わせて置きピンとし、ピントが合ったら撮る、というやり方以外にありません。

 幼魚の下顎はあまり伸びていません。魚体の割には目が大きく、幼魚のうちは、下顎よりもこちらの方が本種の特色で、水面直下で視覚を頼りに餌を探すのでしょう。

 成魚は完全に夜になると表層で寝ているようです。水面移動中にその状態の成魚に遭遇しましたが、透視度が悪すぎて、発見して制動する前にカメラごと成魚にぶつかってしまいました。ぶつかるまで逃げなかったので、完全に寝入っていたと思われます。水中で成魚に遭ったのは、後にも先にもこの1回のみです。

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