イトヒキハゼ

(ハゼ科 ハゴロモハゼ属)

Myersina filifer (Valenciennes, 1837)

イトヒキハゼ(三保)

ハナハゼに居候されるイトヒキハゼ

オリンパスE-1 ZD50/2マクロ f6.7 1/60 Z-220(-0.5)+D-180(フル) 撮影距離60cm

三保 1月 水深18m

 イトヒキハゼは三保の三大泥ハゼの一つです。ヒレナガハゼシゲハゼが泥っぽいところを好むのに対し、イトヒキハゼはやや砂混じりのところに多いように思います。ヒレナガハゼよりも接近するのは簡単で、個体によっては45㎝くらいまで簡単に寄れます。その代わり、このハゼはヒレナガハゼと違い、なかなかヒレを開きません。名前が「イトヒキ」ハゼですから、第一背びれから伸びる糸を表現したいところですが、なかなかそうはいきません。

 このときは、巣穴からニセオニテッポウエビが出ており、かつ、細泥が舞い上がっていたので、ハナハゼが潜んでいることが想像できました。しばらく待っているとハナハゼが巣穴から顔を出しては、危険を察知してすぐに引っ込みます。その際にイトヒキハゼがヒレを開くことが分かりました。そこで、イトヒキハゼの全身にピントが合う位置で待ち、かつ、ハナハゼが出てきたところでシャッタを切ることにして待機しました。その瞬間にシャッタを切ったものです。幸いイトヒキハゼもヒレを開き(尾びれがイマイチですが)、かつ、双方にピントが合った写真が撮れましたが、ハナハゼが出てきたため、細泥は舞い上がってしまいました。これは泥底である以上やむを得ません。むしろ三保らしさが表現できたのかもしれません。ちなみにハナハゼは直ちに反転して巣穴に入りました。

 手前の溝がニセオニテッポウエビの通り道です。エビも出てきてはいたのですが、この溝はあまりに濁っていました。エビまで入れたショットを撮れればよかったのですが、エビは濁りに埋没しており、どうにもなりませんでした。

 ところで、本種には個人的には少々思い入れがあります。この魚は瀬戸内海で釣りをすると割とよく掛かり、地元では「チンボクイ」なる凄まじい地方名で呼ばれていました。釣り上げて針を外そうとした際、指に食いつくのです(地方によっては「テカミ」などと呼ばれています。)。しかし、このハゼの標準名が何なのかは長らく分からず、解明できたのは『原色日本海水魚類図鑑Ⅱ』(保育社)が上梓された昭和60年のことでした。「捕えるとかみつくことがある」とあります。「あの『チンボクイ』に、こんな優雅な和名が付いちょったんか!」というのが当時の感想です。ちなみに煮付けて食ってましたが、普通に旨かったです。

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