デメモロコ濃尾型

(コイ科 スゴモロコ属)

Squalidus japonicus japonicus (Sauvage, 1883)

デメモロコ濃尾型(揖斐川)

絶滅危惧II

デメモロコ濃尾型

オリンパスE-3 ZD35/3.5マクロ f8 1/90 Z-240×2(TTL)

揖斐川 11月 水深70cm

 デメモロコは琵琶湖と濃尾平野に分布し、両者はこれまで同種と扱われてきましたが、別種レベルの差異があるようです。

 濃尾平野のものは稚魚は底凄性で、肉食性が強く(他魚の稚魚も食うらしい。)、琵琶湖型とは明らかに性質が異なっているとのことです。琵琶湖型が濃尾平野にも移植により侵入しているようで、濃尾型の生息地は局限しております。デメモロコ自体は絶滅危惧II類ですが、濃尾型に限れば危険度は第一級と言えましょう。

 さて、本種は流れのない、又はほとんどない泥底部を好み、普段はあまり泳ぎ回りません。撮影地点ではタモロコと同所的に見られましたが、流れのある場所にはほとんど出てきません。警戒心はさほど強くなく(タモロコよりも薄い)、発見さえできれば撮影はさほど難しくありません。

 流れのない場所ではタモロコよりもさらに底層にいて(底から3-5cm程度浮いている)、単独を好みます。お気に入りの場所があるようで、そこを中心にゆっくりと巡回し、泥の上やクロモの上などをついばんでいます。泳ぎはストップ・ゴー方式で、その際に体をくねらせます。大抵の魚は停止する時にヒレを開き、これがシャッタチャンスになるものですが、本種はなかなかヒレを開きません。

 一方、わずかに流れのある場所では、タモロコと混成の群れをつくっています。数はタモロコが圧倒的に多いです。ただ、タモロコほど活発ではなく、タモロコの後、より底層をついて回っている感じです。

 タモロコは尾柄部中央に黒点があるので、水中でも区別することができます。また、デメモロコは尾柄が細く、ヒレの端が輝いており、体色もタモロコよりも赤っぽく見えます。

 スゴモロコ属の見分けは難しいですが、本種はイトモロコスゴモロコを足して二で割ったような体型です(その前に生息場所が異なりますが)。

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