デメモロコは琵琶湖と濃尾平野に分布し、両者はこれまで同種と扱われてきましたが、別種レベルの差異があるようです。
濃尾平野のものは稚魚は底凄性で、肉食性が強く(他魚の稚魚も食うらしい。)、琵琶湖型とは明らかに性質が異なっているとのことです。琵琶湖型が濃尾平野にも移植により侵入しているようで、濃尾型の生息地は局限しております。デメモロコ自体は絶滅危惧II類ですが、濃尾型に限れば危険度は第一級と言えましょう。
さて、本種は流れのない、又はほとんどない泥底部を好み、普段はあまり泳ぎ回りません。撮影地点ではタモロコと同所的に見られましたが、流れのある場所にはほとんど出てきません。警戒心はさほど強くなく(タモロコよりも薄い)、発見さえできれば撮影はさほど難しくありません。
流れのない場所ではタモロコよりもさらに底層にいて(底から3-5cm程度浮いている)、単独を好みます。お気に入りの場所があるようで、そこを中心にゆっくりと巡回し、泥の上やクロモの上などをついばんでいます。泳ぎはストップ・ゴー方式で、その際に体をくねらせます。大抵の魚は停止する時にヒレを開き、これがシャッタチャンスになるものですが、本種はなかなかヒレを開きません。
一方、わずかに流れのある場所では、タモロコと混成の群れをつくっています。数はタモロコが圧倒的に多いです。ただ、タモロコほど活発ではなく、タモロコの後、より底層をついて回っている感じです。
タモロコは尾柄部中央に黒点があるので、水中でも区別することができます。また、デメモロコは尾柄が細く、ヒレの端が輝いており、体色もタモロコよりも赤っぽく見えます。
スゴモロコ属の見分けは難しいですが、本種はイトモロコとスゴモロコを足して二で割ったような体型です(その前に生息場所が異なりますが)。