この写真は、日本在来のドジョウのつもりで掲載し続けてしまいましたが、外来ドジョウです。種としては現在のところ分けられていません。(ちなみに中国大陸由来とはいっても、カラドジョウParamisgurnus dabryanus Dabry de Thiersant, 1872とは別。)
在来ドジョウと外来ドジョウの見分け方として、カラドジョウ同様、ヒゲの長さの違い(長いのが外来、短いのが在来)、尾柄部の高さ(高いのが外来、低いのが在来)が言われていて、確かに傾向としてはそのようなのですが、遺伝的性質と形質を対応させた確実な見分け方を松井・中島が整理して論文化しています。
松井彰子・中島淳「大阪府におけるドジョウの在来および外来系統の分布と形態的特徴にもとづく系統判別法の検討」(大阪市立自然史博物館研究報告 2020)
これによりますと、
①背びれの分岐軟条が6本、かつ、 ②(尻びれ基底後端-尾びれ基底間の距離)>(腹びれ基底-尻びれ基底間の距離) →在来。
①背びれの分岐軟条が7本、かつ、 ②(尻びれ基底後端-尾びれ基底間の距離)/(腹びれ基底-尻びれ基底間の距離)>1.32 →在来
上記以外→外来
見分け方をわかりやすく図示したものがWebページ『湿地帯中毒』に掲載されています。
これらに従って、過去に自分が撮影した「ドジョウ」をあらためて精査すると(そもそも区別点が写せてなかったりするのですが)、確実に在来ドジョウと判断できる写真は1個体しかありませんでした。
コイがいつの間にか外来コイに置き換わり、ニッポンバラタナゴがタイリクバラタナゴに置き換わったように、人知れずドジョウも交雑や駆逐を通じて、外来に置き換わりつつあるのです。
写真の個体は河原にできた湧き水の中で見つけました。
意外にも神経質で、不用意に接近すると素早く逃げます。枯れ木のように見えるのは実は鉄のロープで、その上に乗っかっていたものです。