かつての「トウヨシノボリ」は、近年いくつかの種に分類されていますが、そのうちの一つです。詳しくはヨシノボリ属の一種の頁をご覧ください。
琵琶湖にはもう一種、ビワヨシノボリがいますが、オウミヨシノボリは実用的には、①雄の第一背びれが伸張する、②吻が長い、③頬に赤色点がある、④より大型になる、ことで区別できます。また、オウミヨシノボリは琵琶湖流入河川を中心に棲息しており、琵琶湖では岸寄りで見られます。オウミは河川や湖岸で繁殖し、仔魚は成長とともに多くは河川に遡上するものと考えられます。
一方、ビワヨシノボリは普段は深所に棲んでいるようで、浅場では基本的に繁殖期(5-7月頃)にしか見ることができず、基本的に棲み分けていると思われます。(ただし、繁殖期以外でも少しは湖岸にいるようです)
「オウミ」という和名は、琵琶湖よりさらに広範囲(流入河川がメイン)という趣旨でしょう。
写真は雄どうしの闘争です。琵琶湖の浅場、礫底で撮影しました。非常に強い婚姻色が出ています。本種はかつて「橙色型」と呼ばれていましたが、鮮やかな橙色が尾柄部に現れています。
琵琶湖流入河川では普通に見られます。
おそらくオウミヨシノボリと思われます。頰の赤点が見えにくいですが、よく見るとあります。
撮影地のものは、在来のものなのか、琵琶湖産のアユ種苗に混じって侵入したものなのか判然としません。そもそもオウミヨシノボリは、滋賀県だけが在来分布なのか、それ以外の地域でも元々分布していたのか、明らかになっていません。