これぞ三保名物です。三保では4種類のアカタチが確認されていますが、その中でも最も撮影難易度が高いのがアカタチだそうです。ナイトロックスを使って、30分ほど巣穴の前で粘ってやっと1ショットというくらいの難物とのことです。私が別の場所で撮った他の個体では、ある程度寄ることはできたものの、フラッシュ一発で反転して巣穴に入ってしまったので、通常は1チャンスなのでしょう。
この個体は、三保のガイド陣や写真派ダイバーが時間をかけて慣らしたため、そんなに難物ではなくなり、私のような素人でも写真に収めることができたものです(フラッシュを発光させてもまた巣穴から出てくる)。ところがある時期から全く出てこなくなったので、誰かが恐怖を与えてしまったのでしょう。
反射が起きやすい被写体なので、フラッシュは上方に位置させた方がよいでしょう。色を出すためには、1m程度まで寄る必要があります。80cmほどだと半身出てきます。60cm以上寄ると、引っ込んで出てきません。1m以上離れると全身を現してホバリングしますが、濁りのためにコントラストが低下してしまいます。
この写真は、カメラを縦位置にセットし、反射を抑えるためフラッシュの位置を高くし、ターゲットライトを消して半ば心の目でピントを合わせて全身を撮ったものです。全身写真が撮れるまで半年かかりました。
巣作りをしている最中です。これをやるときは機嫌のいいときだそうで、フラッシュを焚いてもあまり気にしません。
アカタチ類は潮が動き始めるとホバリングして餌を採ります。このときは腹が減っているため、少々危険でも巣穴から出てくるのです。しかし、三保の潮汐は全く読めません。二枚潮、三枚潮も当たり前で、「上げ潮だ、チャンス」と入水してもアカタチのエリアに全く潮が動いていないということがよくあります。