生態写真は少ないと思われるカニです。おそらく三保以外では観察例がほとんどないでしょう。いる場所には大挙棲息しております。
ヒロハイシガニは、軟泥底に自分が隠れる程度の穴を掘って棲んでいます。この巣穴は両端が空いており、穴の長さは15-20cm程度です。夜は巣穴から出てくるようですが、光を当てると素早く穴に隠れてしまい、そう簡単には撮影させてくれません。ライトで照らすと巣穴にいるのはよく見えるのですが、待てど暮らせど出てきません。
そこで、このカニの生態を踏まえてどうすれば撮影できるかを考えました。まず、巣穴を持っているということは、即座に泥に潜ることができないのだろうと考えました。すぐに泥に潜る能力があるのなら、わざわざ巣穴など掘らなくても危険を感じればその場で泥に潜れるはずです。したがって、わざわざつくった巣穴は大事なものであるはずであり、そう簡単にこの巣穴を離れないだろうと考えました。幸い巣穴は短く、片方の穴から指示棒をそっと差し込めば反対側の穴から出てくると思われます。しかし、巣穴を放棄して逃げるのではなく、巣穴に固執して入口で立ち止まるはずです。
というわけで、巣穴の入口でカメラを構え、反対側の穴からそっと指示棒を差し込むとカニは入口で静止しました。軟泥底で泥は巻き上がるので、これが晴れるのを待って撮影しました。