波部忠重氏の『貝の博物誌』(保育社, 1975)にオキナエビスガイなどとともに「生きている化石」として紹介されている貝で、ジュラ紀から白亜紀に栄えた二枚貝の後裔です。実際、本種は化石としてもよく産出されます。ヌノメアカガイ科には中生代の日本には分かっているだけで数種の仲間がいたようですが、現在は本種のみとなっています。
この個体は、夜間、泥底の上に出ていました。光に敏感で、光を当てると殻を閉じてしまいます。軟体はアカガイ類のように赤くなく、アサリと同じような色をしています。せっかくなら軟体を写したいので、いったんその場を離れ、しばらく経ってから戻ってみたのですが、ちょっと光を当てただけで殻を閉じてしまいました。本種は底引き網にはよくかかるらしいのでさほど珍しい種ではありませんが、このような化石種と実際にご対面できるとは三保恐るべしです。