本種はかなり難易度の高い被写体です。この個体は三保のガイド陣が相当馴らしたので、ある程度寄れるようになっていました。
この時は潮がよかったのか、遠くから見ているとよくホバリングしていました。しかし、このときに持っていたカメラは旧式のOM-1。手動巻き上げの上、ファインダーが素通し、しかも水圧でフォーカスギアが回らず、撮影距離は70cmにしかセットできません。
仕方がないので、ファインダを見たまま巣穴にピントが合うまでじりじりと寄り、巣穴から体を出すのを待つことにしました。スミツキは頭を出したり引っ込めたりしていましたが、ついに全身が出てきました。「しまった!なぜ縦位置で構えていなかったんだ!」と悔しがりながらシャッタを切ったのがこれです。私がカメラを構えていたのがストレスになったのか、スミツキはもう一つの巣穴に移動しました。
ところで、この写真を見ても和名の由来である「墨付き」が分かりません。実は口元に黒点があり、この黒点は口を開いたときにしか見ることができません。写真でお分かりのように、肛門付近に銀色の短冊模様があり、むしろ「タンザクアカタチ」とでもした方が分かりやすいくらいです。
黒点が分かるように撮ってみたいものです。