マルタウグイ

(コイ科 ウグイ属)

Tribolodon brandti (Dybowski, 1872)

マルタウグイ跳躍(多摩川)

跳躍するマルタウグイ

オリンパスE-3 ZD50-200(101)/2.8-3.5ズーム f4.5 1/2000 ISO200

多摩川 3月

 本種は通常は河口域に棲息していますが、産卵期の3-5月になると中流域の浅瀬を目指して遡上を始めます。

 多摩川では一時絶滅しましたが、茨城県の涸沼川産の個体が放流され、現在はその個体群が繁殖しています。

 堰など落差のある場所では、かなりの跳躍を見せます。早朝から跳躍していますので、マルタウグイは低水温には強く、水温の上昇と活性の向上には特段の相関はないものと考えられます。

 水流は白波が立っているため+1.5~+2の露出補正が、また写し止めるには1/1000より早いシャッタ速度が必要です。観察していると、マルタが跳躍する地点は、水深が深くなる直下流で、ある程度の深さがある場所です。しかし、いつ跳ぶかは分からないため、ファインダを覗き、ピントを合わせてシャッタ半押しのまま待ち続けることとなります。

 1匹が跳ぶとその興奮が他の魚にも伝わるのか、他の個体も跳ぶ傾向があるので、それを狙います。

マルタウグイ産卵(多摩川)

産卵の機会を窺うマルタウグイ

オリンパスE-3 ZD8/3.5魚眼+EC14 f4.9 1/250 Z-240×2(TTL)

多摩川 4月

 産卵条件の揃った浅瀬では、淵に待機したマルタウグイが大挙して瀬に突入し、あちこちで水しぶきを上げながら産卵します。釣り人は「お祭り」と呼んでいます。マルタウグイは夜間産卵するのがメインと言われていますが、お祭り状態になると昼間でも産卵します。

 産卵で興奮状態にあるとはいえ、立ったまま歩いて近づくと逃げるため、岸まではしゃがんで寄り、水中では腹ばいで下流側からにじり寄ります。マルタウグイには好んで定位する場所があるようで、こうした場所で待機しながら産卵の機会をうかがっています。定位している間はずっと同じ場所にいるためごくゆっくりと寄れば近づけます。しかし限界があり、ある距離になるとさっと逃げてしまいます。

 マルタの産卵は、①まず淵から一団が瀬に進入、②5-6匹が瀬に並んでしばらく定位、③雌が雄に体側をつつかれて突進、④雄が追尾して産卵開始、という手順のようです。したがって、産卵場所をあらかじめ特定して撮影する、というのはなかなか簡単ではありません。産卵の瞬間は撮影できていません。

 多摩川も中流上部に行くと極めて清澄なのですが、中流下部からはかなり濁った川になります。あちこちで取水される代わりに、下水処理水が流入し、撮影地ではおそらく河川水の半分くらいが下水処理水です。透視度はせいぜい50cmで、浮遊物が多く、下水処理水特有の匂いもあります。

 これに瀬では気泡も混じるため、撮影はかなり苦労します。浅すぎてファインダや水中眼鏡が水面上にはみ出てしまい、見づらいうえ、気泡が視野をふさぐので、少し深い場所を選ぶ必要があります。

 写真の個体群は、産卵待機中の状態です。手前の石には卵が付着しています。

 低い透視度、浮遊物、気泡など悪条件が重なる場所なので、かなり近くまで(ポート面から20cm程度)まで寄る必要があり、魚体も大きいため、レンズは超広角です。さらに①浮遊物を目立たなくするため絞り開放、②気泡の「流れ」を防止するためシャッタ速度はX接点、③魚体反射防止のためフラッシュは最大限離して後寄りに位置、④フラッシュは弱く当てる、という設定で撮影しています

マルタウグイ卵

マルタウグイの卵

オリンパスE-3 ZD8/3.5魚眼+EC14 f11 1/125 Z-240×2(TTL)

多摩川 4月

 本種は中流域の浅瀬で産卵します。本種の卵は粘着卵で、藻類のないつるつるの岩でないと卵が付着しないため、通常は瀬で産卵します。水深は15-20cm程度の場所です。

 ただし、伏流水など貧栄養で藻類が石に付かないような場所なら、流れのない場所でも産卵することがあります。また、増水で干上がった石が水没すると、その石がつるつるなので産卵することも多いようです。石に付着物があると、大水が来た際に付着物ごとはがれてしまい、卵が流下してしまうので、そうした場所には産卵しないものと推測されます。

 産卵には浮石の場所が選ばれますが、これは石の表面積が多く、卵が多く付着できるからでしょう。沈み石のところでは産卵しません。

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