アカヒレタビラは山陰から東北までかなり広い範囲に分布するとされていましたが、2007年にアカヒレタビラ(太平洋側)、キタノアカヒレタビラ(東北の日本海側)、ミナミアカヒレタビラ(北陸、山陰)の3亜種に分けられました。しかもミナミアカヒレタビラは不連続に分布し、北陸のものと山陰のものでは少し違うらしいです。
撮影地では、流れのある場所を好むようで、流れのない場所では見られませんでした。
繁殖期を過ぎているため、婚姻色はほぼ抜けています。下の2個体はヤリタナゴです。
タイリクバラタナゴと群れることもありますが、流れのある場所ではミナミアカヒレタビラとヤリタナゴが群れをつくっています。警戒心はタイリクバラタナゴよりも強いです。
付着藻類を食べています
繁殖期の個体です。写真ではそうでもないように見えるもしれませんが、実はこの場所は透視度30cmもなく、遊泳魚相手だとほぼ撮影限界です。以前同様の透視度の場所でニッポンバラタナゴを撮影していますが、それよりもさらに悪条件です。手を入れると少なくとも肘までは簡単に入ってしまうような軟泥底です。ごくゆっくり動かないと、軟泥が舞い上がって何も見えなくなります。ファインダを覗くと前が見えますが、目を離すと濁りで何も見えません。ファインダを覗きながら、被写体を捜すしかないのです。
目の前をタビラが通り過ぎるのは分かるのですが、この状態では摂餌か貝覗きでもしてくれない限り撮影不能です。ドブガイは結構見つかるのですが、貝覗きをしている様子はありません。1時間経過してもまともに撮影できず、いい加減嫌になってきますが、いる以上必ずチャンスはあると信じて粘るしかありません。
そのうち、抽水植物の生えているあたりで、ようやく貝覗きの対象となっているドブガイが見つかりました。この貝を閉じさせないよう、慎重に寄ります。小型ながら婚姻色の出かかった雄や、産卵管の伸びた雌がいます。ただ、ドブガイに貝覗きはするものの、むしろ食い気の方が強く、近くの枯れ枝などに付着している藻類を盛んについばんでいます。
貝にピントを合わせ、貝覗きで静止するのを狙って撮影しました。大型でより美しい雄もいるのですが、これらは闘争しているようで速く泳いでおり、到底撮影できません。こういう個体は全く貝覗きせず、縄張りを守っている様子もうかがえません。小型個体のみが貝覗きをしていました。結局この貝には縄張りは張られることもなく、産卵も観察できませんでしたが、何とか撮影だけはできました。