本種はかつて「ウツセミカジカ」として独立した種になっていました。その後、カジカ小卵型と同一視されていましたが、近年はカジカ小卵型の地域個体群又は亜種とされているようです(定説には至っていない模様)。
琵琶湖内では浅場でも見かけますが、水深60-80m程度のかなり深い場所にも分布しています。琵琶湖個体群は激減しているとされ、その原因はイサザと同様と思われます。ただ、実際に潜水して観察すると、礫底の場所ならそれなり個体数に出会うことができますし、場所によっては砂底のところで見かけることもあります。また、流入河川でもさほど珍しくはないように思います。流れがあれば農業用水路のような砂泥底環境にいることも珍しくなく、かなり特異な生態を持ったカジカです。
本種は浅場では浮き石、特に礫が積み重なった複層浮き石の場所を好むようです。石をはぐってもあまり逃げません。繁殖期は3-4月で、撮影した5月には半透明な稚魚も見られました。こうした稚魚も既に単独生活しているようです。