ジュズカケハゼ

(ハゼ科 ウキゴリ属)

Gymnogobius castaneus (O'Shaughnessy, 1875)

ジュズカケハゼ(大崎市のため池)

浮遊するジュズカケハゼ

オリンパスE-3 ZD12-60(17)/2.8-4 f8 1/8 Z-240×2(TTL)

大崎市のため池 10月 水深20cm

 「ジュズカケハゼ広域分布種」に相当するハゼで、関東・北陸以北の本州の止水域に生息します。(旧ジュズカケハゼ4種の分類についてはムサシノジュズカケハゼの頁をご参照ください。)

 広く分布する割には、本土では沼など撮影に不向きな場所に生息していることもあり、なかなか出会う機会がありませんでした。

 ウキゴリ属らしく、比較的浮遊しています。その状態を撮影しました。

 なお、撮影地では、ハゼ類としてはヨシノボリ属の一種[旧トウヨシノボリ]が圧倒的で、本種はさほど個体数は多くありません。


ジュズカケハゼ(別寒辺牛川)

ジュズカケハゼ?

オリンパスE-3 ZD12-60(60)/2.8-4 f8 1/60 Z-240×2(TTL)

別寒辺牛川 7月 水深30cm

 道東で撮影したジュズカケハゼです。この場所では、形態的にはジュズカケハゼですが、mtDNAではビリンゴに該当するものが見いだされており、写真の個体も両種の雑種的な存在のようです。

 この地区の河川下流域から感潮域では普通種で、周辺にはイサザアミ類や、ヨコエビ類が大量に棲息しているため、発育はよく、写真のようによく肥えた個体もよく見られます。

 北海道の湿原を流れる川は、大きく蛇行しているうえ、温度が低く有機物の分解が進まないため、水中にはフルボ酸等の腐植質が大量に残存し、褐色を呈しています。トゲウオ類やジュズカケハゼに難なく出会うことはできますが、この透視度と軟泥底では撮影するのはなかなか厄介です。

 ウキゴリ属は、大抵の種が敏感で、寄るとさっさと逃げますが、ここの個体群も同様です。寄っては逃げられ、を繰り返したあげく、ようやく大きく撮影できました。

 ところで、このあたりのジュズカケハゼは、純淡水域のみならず、感潮域でも見られます。川によっては、下層の海水部分にも平気で棲んでいます。「ビリンゴでしょ?」と言いたくなりますが、外見、mtDNAともジュズカケハゼだそうです。

 ジュズカケハゼとビリンゴは、孔器列の差異だけで分類することには限界があるようで、研究が進められています。

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